デジカメ黎明期、画質なんかよりも大きな問題が二つあった。
・シリコンメディアがスゴイ高い
・パソコンへの転送が面倒で遅い
スマートメディアとか、CompactFlashとか、そういった不便なメディアか、あるいは半田付けされて内蔵メモリしかない時代(フラッシュメモリですらなく、電池がきれたら消えるモデルもあった)。この頃は本当に本当にメディアが高いし容量もないし、きびしかった。
また、USBなんてものはなく(当然、マスストレージなんて規格もない)、パソコンとの接続はシリアル(あるいはパラレル)で接続して、謎のドライバをいれてつなぐ必要がある時代だった。すっごい不便。
取り込みソフトも恐ろしくデキが悪くて、TWAIN対応のよくわからんドライバの場合は、PSP(おぼえているだろうか、PaintShopProである)等から取り込んだりもしていた。
そんな古代、マビカは最高だった、なにせメディアがフロッピーディスクなのだ。
FDは当時にしても1.44Mbyteしかない容量で、書き込みこそ多少メモリより遅かったが、プラシャッターのものであれば50枚何千円で買えた。FD一枚に2〜30枚くらいとれたと思う(フィルムっぽい!!)。
メモリーカードも4とか8Mbyteくらいしかない時代だったので、断然コスパがよい。
そして、どのWindowsPCにも絶対に3モードFDDが付いている時代だったのだ(97年ごろ、まだWindows98もでていない。国民機PC98は1.44読み込みできないドライブが極希にあったが、この頃には大分勝負がついていた)。
ドライバなんて提供されない、OS/2からでもファイルがコピーできるし、つまり完全なユニバーサルな取り込み環境がついていて最高に便利だったのだ。
友人の家にいって、友人のFDに撮影して渡す、とか(当時なら)本当にイケてたとおもう。
実際、デカイことをのぞけば、本当にこれは使い勝手がよくて、出先でも買い足せるし、いろんなものを撮影して遊んだ。今でもいくらかの当時の写真がPCにのこっていて思い出せる。
当時はまだ「撮れるだけでもすごい!」時代だったので、色とか画質は評価されていない時代だったが、ビデオカメラに似た少々キツイ発色ながら(マビカはビデオカメラチームの開発なのだとおもう)、レンズがマトモだったのか画素のわりには解像感の高い画が撮れた。
自分が触ったのはズームレス(かっこよく言えば単焦点)モデルだが、やはりビデオカメラの技術を生かしたであろうx10ズームモデルとかもあった。
たしかバッテリーもビデオカメラのものが流用できて、当時のハンディカムを使っている人はそのままそのバッテリーが流用できたようにおもう、ただ、めっちゃくちゃバッテリーが持った記憶があるので交換したことはない。さすがSONYである、当時のSONYはすごかった。
手にもった感触を良く覚えていて、フルプラスチックで、でかいけれどスカスカとした感触だった。多分FDDにあわせたサイズにふくらませていたのだろう。
そんな筐体で一枚撮影すると、手の中でマビカがガッギッカカカッと威勢良くなりひびき、保存してるな!と実感できた。FDDに書き込まれていくのは、どこか銀塩カメラの巻き上げにも似た、「撮ってるぞ!」という感じがあっと思う。
まあ、そんなマビカはその後CDRに直接書き込むとか、そういう豪快なモデルもあったと記憶しているが、メモリカードがドンドン安くなるにつれてPC向け汎用メディアを無理矢理つかう意味は無くなっていってサイバーショットに座を譲った。
ただ、ふと気付けば、今のノートPCには大体SDカードドライブがついていて、当時のフロッピーの位置にSDカードがきてるのかもしれないな、等と思った、と、ここに書こうとおもったが…
もはや最近の若い人はiPhoneとかつかっていて、「メディア」という概念すらなさそうな時代だなーと思ったりした。時代は変わる。